国立大学法人東京大学と日本ペイントホールディングス株式会社(取締役会長代表執行役社長兼CEO:田中正明、以下「日本ペイント」)は、両組織の包括的な共同研究および人材交流を、高度なレベルで推進する産学協創協定を2020年5月18日に締結した。東京大学と日本ペイントは本協定を通じて、“塗料とコーティング”を軸に、抗ウイルス技術を含む新型コロナウイルス感染症の拡大防止に資する技術や、感染拡大が終息した後に訪れる新たな社会の課題解決に向けた技術の実現に注力することになった。また、スマート/リモート社会の基盤づくり、ならびに美しく魅力あふれる持続可能型社会を紡ぐための新たな技術を提供することを目的とし、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構に社会連携講座「講座名:革新的コーティング技術の創生」を設置し、2020年10月1日より開始した。
社会連携講座の背景
国際連合が採択した17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に向けて、誰もが活躍できるインクルーシブな社会づくりが必要である。従って、学内の「知」を集積し、学内外との連携を深め、生み出された技術の社会実装を通じて、グローバルに課題解決をリードする必要がある。特に最近は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に貢献できる工学研究」、「感染拡大が一旦終息した後に訪れる新型コロナウイルスと共生しなければならない社会、及び新型コロナウイルスのワクチンが普及した後も、未知の感染症の発生リスクに備え続ける社会(以下、両者を総称して“ポストコロナ社会”)を見据えた工学研究」をリードしなければならない。
日本ペイントは、アジアNo.1のグローバル総合塗料メーカーとして、ビルや戸建て住宅などの建物、橋梁などの大型構造物、自動車、新幹線などの鉄道車両や大型機械、船舶など、世の中のあらゆるところで人々の暮らしと産業の発展に貢献してきた。現在も、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会不安に対して、塗料・コーティング・表面処理により貢献できる技術を開発すべく、新たな取り組みを強化している。更に、現代社会が抱える、気候変動や自然破壊などの環境問題、高齢化社会や先進諸国における人口減少、資源枯渇といった難解な社会課題に対して、オープンイノベーションを通じて、革新的な塗料・コーティング技術の開発を強化している。以上の背景より、本社会連携講座を設置することになった。